月刊誌「新潮45」3月号付録のDVDで観た。
原節子が映画デビュー翌年(昭和11年)に15歳で出演した映画で、北方領土・国後島でロケが行われた映画。
こんな作品が残っていたことを始めて知った。
無声映画からトーキーに移行する1930年代に優れた
作品を創った監督。
戦前の代表作「土」は、日本映画にリアリズムを確立した作品で、映画として農民を描いた唯一のもので、観客はこの映画によって、はじめて農民の実態を観たといわれている問題作。その年のキネマ旬報ベストテン第1位に輝く。この「生命の冠」は、「土」の3年前に創られている。
こちらは、農民ではなく漁民が描かれているので、観客は、樺太でのカニ漁やカニ缶詰工場で働く様子をはじめて観たのだろう。
主人公であるカニ缶詰工場経営者の苦悩を描きながら、「生命(いのち)の冠」というテーマを訴える意欲作だ。若き内田吐夢監督の貴重な史料であり、また歴史的にも島の姿を今に伝える貴重なフィルムといえそうだ。