映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

山田洋次が選ぶ日本映画100選 「二十四の瞳」

今週から「山田洋次が選ぶ日本映画100選」がNHKBSで始まった。
最初が「東京物語」(小津安二郎監督 1953年)、次が「二十四の瞳」(木下恵介監督 1954年)。
この日本映画の傑作2本が、”デジタル・リマスター版”での放映なので嬉しい。

二十四の瞳」を観た。
やはり泣ける。

だが泣けるだけの映画ではない。

今回の鑑賞で、改めて驚くことが多かった。
キャスト・クレジットの始まりは当然主役の高峰秀子と思っていたら、12人の子役名から始まっていた。
そうなのだ、主役は12人の子供たちだから当然なのだが。
ここにも監督の決意と優しさ、きめ細やかな演出が垣間見える。

また、現代の映画と違い、アップ場面が少なく、ロングショットが多いのに驚く。
その風景画面のなかで展開する物語が実に新鮮に感じるから不思議だ。
小豆島の風景は、デジタル・リマスター版で甦り、本当に素晴らしい。
この”抒情”は木下監督の独壇場。
やはり自然のなかで人間は育つのだという、あたりまえなことに感動する。
原発事故や計画停電で混乱のなかにあるからこそ、自然の大切さを改めて認識する。

ロングで捉えた葬列。
我が子に「靖国の母がそんなにいいの」というひとことに本音を秘める。

音楽は唱歌と軍歌だけ。これだけで詩情あふれた反戦映画を創ってしまう木下恵介という監督に改めて脱帽した。