映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

木下惠介監督初期の作品「わが恋せし乙女」と「破れ太鼓」

梅雨が明けて、連日の猛暑で、何もする気がない。
映画「はじまりのみち」で木下惠介監督の代表作名場面集を観て感激したことを思い出し初期の木下監督作品DVDを借りにTUTAYAへ探しに行ったが、初期の作品は置いていなかった。
そこで、いつもi-podの音楽ダウンロードでお世話になっている「iTunes Store」で検索すると、監督初期の作品が多くあった。
そこで、「わが恋せし乙女」と「破れ太鼓」をダウンロード。
料金は@200円とリーゾナブルで、自宅で気ままに観れる。

「はじまりのみち」のなかでも、監督が”恋人ふたりが花で飾られた馬車に乗っていく映画を撮りたい”と言わせた作品が、「わが恋せし乙女」(写真)である。
牧場を舞台に、捨て子の娘(井川邦子)と二人の男性をめぐるドラマだが、終戦翌年の昭和21年制作とおもえぬ戦後女性の解放感がある。
映像も得意の横移動撮影など駆使し、明るく軽快で、戦後の解放感をも鮮やかに描いていて、監督の思いがよくわかった。

破れ太鼓」は、阪妻の軽妙な演技がみもの。
「はじまりのみち」のなかでは、泣きながらカレーライスを食べる名場面が映しだされていた。
映画のなかで作曲家志望の次男を演じているのが、監督の実弟である木下忠司。
主題歌を歌いながらピアノの鍵盤を叩く姿が実像と重なっていた。

映画音楽家の木下忠司は監督の映画作りには欠かせぬ存在。
二十四の瞳」の小学唱歌、「野菊の如き君なりき」のマンドリン、「喜びも悲しみも幾歳月」の主題歌、「永遠の人」のフラメンコ、「楢山節考」の浄瑠璃・三味線、「衝動殺人 息子よ」のハーモニカ、など新鮮かつ独自の音楽で監督の名画を支えてきた。
この映画は、その若き姿を観ることができるのだ。