映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

ビリー・ワイルダー監督第4作「失われた週末」

「失われた週末」(1945年)は、ハリウッドで初めてアルコール依存症を真正面から捕らえた問題作。
終始依存症の恐怖をリアルに描く。
今観ると、さほどの恐怖感はないのだが、公開当時は相当ショッキングな内容だったのだろう。

ニューヨークのビル風景からアパートの窓にカメラが寄ると、ウイスキーの瓶が紐で吊り下げられていて、その瓶をちらりと見る主人公レイ・ミランドの姿。
ここまでワンカットで見せるファーストシーンで、もう唸ってしまう。
ちょうど後のヒッチコック監督「サイコ」のファーストシーンと同様の緊迫した導入部だ。

監督第1作「少佐と少女」で起用したレイ・ミランドを再び主役にして、名演技を引き出しアカデミー主演男優賞を受賞。
この作品は興行的にもヒットし、ワイルダーは監督4作目にしてアカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞を受賞。
名実ともにその地位を確立する。