映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「サンドラの週末 」

会社から解雇を告げられたサンドラ。
解雇撤回を求め月曜日までの2日、長い週末が始まった。

ロゼッタ」、「ある子供」、「少年と自転車」などカンヌ国際映画祭で2度のパルムドールに輝き、5作品連続で主要部門を受賞したダルデンヌ兄弟監督の最新作。

子供のために調理するファーストシーンから、解雇賛否投票が終了して会社を出るラストシーンまで、サンドラの3日間を追っていく。
手持ちカメラでの追跡は、さすがドキュメンタリー出身の監督らしく、緊張感が持続して見応えがある。

サンドラを演じるマリオン・コティヤールが好演。
エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」でのオスカー女優の起用でダルデンヌ兄弟監督もミニシアター系からメジャー系に転向したと受け取られたのか、本作はカンヌ国際映画祭初の無冠に終わった。
だが、私には過去の監督作同様に、心に沁みる秀作として受け止めた。

精神的な病を抱え、それでも理不尽な会社に立ち向かう女性に最後まで応援してしまう。
しかし、サンドラに感情移入して応援するだけの物語にしていないところが監督の器量。
解雇賛否投票が終了し社長室での対話に、この映画の核がある。
そして、サンドラは、大きな一歩を踏み出したのである。