映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「私の少女」

韓国では少ない女性監督チョン・ジュリ鮮烈デビュー作。
その誕生を支えたのが、傑作「オアシス」のイ・チャンドン監督で、プロデュースを務める。

主演の女優ふたりは「空気人形」のペ・ドゥナと、「冬の小鳥」のキム・セロン、となると演技が見ものと即断してしまう。
まさにそのとおり、それぞれ事情を抱えたふたりのからみが緊張感のなかに壮絶なドラマが展開する。
特にキム・セロンは、苦悩をかかえていても逆境にあっても得体の知れない少女を演じきっている。宣伝用ポスター写真(右図)からも想像できるように、眼の演技にも注目だ。

舞台は韓国の過疎の漁村。過疎の村だからこそ住民たちの眼やうわさが厳しいのだが、不安やいらだち、孤独が鮮明に映しだされた。
韓国映画では暴力描写には慣れっこになってしまっているが、同じ暴力でも被害者の視点で捉えて、女性監督ならではの描写力。

心揺さぶられた女性映画なのだが、こういう映画こそ若い男性にも観てほしい。