映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「コクリコ坂から」

舞台は1963年の横浜。高校生ふたりの純愛物語。
東京オリンピック前年で、高度成長期。時代の空気は、よくわかる。
私も当時は、映画と同じ高校生だった。

男女共学の高校では、私はフォークダンスで好きな女性の手を握ったときに声もかけられなかった。
映画は、そんな時代を思い出させてくれて、なぜか優しい気持ちになり心が揺れるのだ。
これがスタジオジブリ作品の魔力なのか。

横浜ではないが、神奈川県の高校に通っていて、映画では、私が当時知っている横浜の風景とはちょっと違った"思い出の中の原風景"といった感じで、いかにもアニメの舞台にふさわしいように描かれていた。
青い空、青い海、自然が残る坂道、洋館風の古い建物、市電などアニメ独特の描写は、ここちよい。
それに加えて、お釜、ガリ版などに、なつかしさがよみがえる。
ふたりの純愛はどう進むのか興味をつないで、最後まであきさせない。
さわやかな気持ちを、もらった。

同じスタジオジブリの映画「おもひでぽろぽろ」(高畑勲監督)では、60年代の生活や文化を正確かつビビッドに再現していた。
そして、アニメでしか表現できないあの感動のラストシーンが、特に素晴らしかった。
どうしてもこの作品と比較してしまうが、映画「コクリコ坂から」は、CG実写映画でも表現が可能であり、もっとアニメでしか表現できないシーンを観たかったと感じてしまうのだ。