映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「パプーシャの黒い瞳」

文字を持たないジプシーの一族に生まれながら幼い頃から文字に惹かれ、ジプシー初の詩人といわれた実在の女性を描いたポーランド映画

文字や言葉が好きだが、自分のなかでは、「詩って、何?」

彼女の才能を発見した人々により新聞記事となるが、禁忌を破ったとして、一族の怒りを買ってしまう。

この物語には、自分の言葉を持ったパプーシャと、一族の怒りに正気を失うパプーシャがいる。
純粋な彼女は言う、
「詩を書いたことなど一度もない」と。
自分自身の苦悩は、ふたつの戦争をはさんでジプシー民族の過酷な運命にも呑みこまれていく。

一族の放浪の旅、重い歴史が、静謐なモノクローム映像によって一層心深く突き刺さってくる。
昨年観た「イーダ」同様に、モノクローム映像の力量に驚く。

クシシュトフ・クラウゼとヨアンナ・コス=クラウゼ夫妻の共同監督。
クシシュトフの遺作となった。

近年の日本においては、「ジプシー」という用語は「ロマ」と言い換えられているが映画字幕では、”時代的および地域的背景を考慮して、「ジプシー」という呼称を使用”(宣伝用ちらし)したとしている。