今年のアカデミー賞の話題のひとつが、この映画が「リンカーン」と共に二本の黒人奴隷制度を扱った映画が並んだこと。
アカデミー賞脚本賞を受賞した本作は、奴隷制度に対する怒りが全編にあふれた異色西部劇である。
赤い文字のタイトルロールに、あの”ジャンゴ〜”の音楽で始まるや、もう賞金稼ぎが主人公のマカロニ・ウェスタンの世界。
B級映画や東映任侠映画が大好きなクエンティン・タランティーノ監督の独壇場だ。
ジェイミー・フォックスとクリストフ・ヴァルツ二人の賞金稼ぎコンビ。
奴隷が当然の黒人が馬に乗っていることだけで奇異の眼にさらされる場面から当時の奴隷制度の現実をえぐりだす。
コンビ二人の脇を固める悪役の二人、レオナルド・ディカプリオとサミュエル・L・ジャクソンがオーバー気味な演技で魅せるのもタランティーノ・ワールド。
早撃ち、ガンファイト、ダイナマイトと過激な描写で西部劇の面白さもたっぷり。
残酷描写は想定内。
ユーモアある会話、駆け引きの妙や、次の展開を待ち望むサスペンスもあって2時間45分という上映時間を飽きさせない面白さ。