映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

1969年 緋牡丹お竜に首ったけ


<私の映画遍歴14 20代の若き頃>

1969年(昭和44年)は、「メン・イン・ブラック3」で描かれたタイムスリップした年、アポロ11号が人類初の月面着陸に世界中がテレビの前で固唾をのんで見守った年。
音楽番組では、由紀さおりの「夜明けのスキャット」が大ヒット。
テレビは、UHF民放テレビ局が各地に開局し、商用テレビ飛躍の年。
お茶の間では「8時だョ!全員集合」で、家族全員が大笑い。

こうして1969年は、テレビと切っても切れない年なのだ。

テレビの影響が大きく、日本映画業界は斜陽産業の時代。
日活は、経営難のため撮影所を売却した。

残る邦画4社は苦境の企画で生き残りを図る。
東宝は、クレージーキャッツ無責任シリーズの次はコント55号
    テレビお笑いタレントを映画に迎えて。
松竹は、テレビドラマのヒット作「男はつらいよ」映画化第1作がスタートした。
大映は、座頭市も飽きられて、頼みの市川雷蔵が37歳の若さでガンに倒れた。
東映は、任侠路線。鶴田浩二高倉健に続き、藤純子が大活躍。

前年の「緋牡丹博徒」で主役をはった藤純子に、当時私はメロメロだった。
71年に、NHKテレビの大河ドラマ源義経」で共演した菊之助と結婚のため引退するまでの間、東映封切館によく通った。
引退記念映画「関東緋桜一家」を観た丸の内東映劇場では、エンドタイトルが出た時に観客席から拍手の嵐!もちろん私も拍手して、別れを惜しんだ。

作品では加藤泰監督の「緋牡丹博徒花札勝負」が、最高。しびれた。
藤純子の凛とした美しさ、熊本弁で切る仁義・啖呵の美しさ、静と動の美しさ、監督独特のローアングルで魅せた歌舞伎の世界。カタルシスの極致。

私の大好きな東映任侠映画の傑作5本をあげておこう。
○「明治侠客伝 三代目襲名」 加藤泰監督・鶴田浩二藤純子主演
○「関の弥太っぺ」  山下耕作監督・中村錦之助、十朱幸代主演
○「沓掛時次郎 遊侠一匹」 加藤泰監督・中村錦之助池内淳子主演
○「人生劇場 飛車角と吉良常」 内田吐夢監督・鶴田浩二高倉健藤純子主演
○「緋牡丹博徒 花札勝負」 加藤泰監督・藤純子高倉健主演


                              <続く>