映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「コクリコ坂から」の時代、1963年

<私の映画遍歴8 受験時代>

コクリコ坂から」の時代、1963年(昭和38年)は、私の大学受験時代。

その頃は映画ばかり観てのいたので、当然むくいか。3月、希望の大学受験に失敗した。
合格発表の当日、不合格を確認した帰り道に観たのが、黒澤明監督「天国と地獄」。
しゃれではないが、合否は、まさに天国と地獄。でも、映画はゾクゾクしがらな観た。山崎努演じる犯人像に、受験に失敗し挫折した自分を重ねた。

つづいて観た映画は、アートシアター新宿文化でのポーランド映画
夜行列車」(イェジー・カワレロウィッチ監督)。
陰鬱なモノクロ画面、けだるい音楽、繰りひろげられる不毛の愛、じわりと迫る「孤独」。
夜行列車の同室に乗り合わせた男(写真右)は逃亡中の殺人犯か?
ミステリー仕立てで進む中、ほんとうの殺人犯が列車から逃亡、捕まる寸前に見つめる眼のアップ場面で全貌が判明する。実は主人公の女は、この殺人犯と逃亡するために夜行列車に乗ったのだ。そして終点に。行き先がない女はひとり町とは反対の海へ・・
主人公の女性が、愛人である逃亡殺人犯と、ついに最後まで、ひとことも口をきかなかったというドラマ作りに感心した。
この年、私のベスト1映画。

4月には有楽座で「アラビアのロレンス」、アイドル吉永小百合主演の「いつでも夢を」など、いつものペースで映画を観ながらの予備校生活が始まった。
よく通ったのが、「新宿日活名画座」と「池袋人生坐」という名画座
そして、京橋にあった「国立近代美術館・フィルムライブラリー」。
溝口健二小津安二郎黒澤明らの日本映画の傑作を数多く観た。
日本映画とは、こんなにも、素晴らしいものか!感激の連続だった。

結局、受験勉強をしながらも年間100本近くの映画を観ていた。
                                    <続く>