満員で観ることができなかった映画を、やっと観てきた。
映画館は前数列を除いて満席で、いまだにヒット中なのだろう。
嬉しくなる。
電車の俯瞰シーン、ローアングルで捉えた家の中では人物のほうがカメラに入ってくるという出だしは、まさに”小津調”。
山田洋次監督が、小津安二郎監督に捧げる作品。
小津作品では、血の繋がっていない次男の未亡人・紀子（原節子）が両親の心を捉えるというのが核だった。
山田作品では、次男（妻夫木聡）は生きており、恋人・紀子（蒼井優）とは被災地のボランティアで出会ったという設定である。
今回もやはりこの紀子の姿がいい。
だが、蒼井優を除いて、役者たちがみんな生活感に乏しいというか、ストーリーの中の人物像になりきれていないのが不満。
小津作品での、東山千栄子や杉村春子らの名演技が印象的だっただけに、そこがリメイクの難しいところかもしれない。
期待したが、残念な一作。
