映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「あしたのジョー」

曽利文彦の初監督作品「ピンポン」は、卓球という絵にならないスポーツを格闘技のような迫力で見事に描き、
敵役である歌舞伎役者・中村獅童の個性を十二分に
引きだした監督の力量に感心した。

その監督が、ボクシングを、しかも誰もが知る漫画を映画化したといえば、どうしても観たくなる。
はたして、ボクシング場面は迫力があり、役者の個性もすごい。

だが、肝心のお話の展開が今一つ盛り上がらない。
単調でゆるい。
舞台の山谷ドヤ街もそこに住む住民も、作りものっぽいし、泪橋タンポポなぞ、わざとらしい。白木ジムは当時では豪華すぎて・・・
ドラマの流れの中で、どうしても浮いてきてしまう。

「ピンポン」と同様に、敵役の伊勢谷友介に救われた。
特に減量シーンや、闘争心を目つきで演技する場面など、たっぷり魅せる。
山下智久香川照之も共に役になりきっていて、役者の根性もみせた。