映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「ジュラシック・ワールド/炎の王国」3D吹替版

毎日の酷暑。
映画館で涼みながら暑さを吹き飛ばそうと映画館へ。
近所のシネコンでは、2D字幕版・2D吹替版・3D吹替版があったが、迷わず好きな3D上映スクリーンを選ぶ。
本作も3Dの迫力を十分に楽しめた。

この映画は興行成績第1位というのに、平日昼間の館内はガラガラ。
ひょっとして3D上映スクリーンだけが、ガラガラなの?

そういえば、このシネコンでも3D上映映画がめっきり減っている。
3Dブームは去ったのか。

これまで、数々の3Dだからこその名画が多くあった。
アバター
ゼロ・グラビティ
トイストーリー3」
ライフ・オブ・パイ」等
忘れられない3D体験だったというのに!

ファンとしては、今後とも3Dならではの映画上映に期待したいところ。

橋本忍さんを偲ぶ

脚本家・橋本忍さんが死去した。100歳。

今から50数年前に、縁あって東京世田谷にある自宅を訪問する機会があった。
驚いたのは蔵書の多さ。中でも目を引いたのは、「ハヤカワ・ポケット・ミステリー」が廊下までずらりと並んでいたこと。
ミステリー・探偵小説好きだとすぐわかった。
どうりで、謎が謎を呼ぶ「羅生門」がデビュー作となったはずだ。
松本清張原作もので真価を発揮。
「張り込み」と、映画タイトルが出るまでの長い緊張したファーストシーン、「ゼロの焦点」での回想シーン等々。
社会派ドラマでも、「真昼の暗黒」や「私は貝になりたい」ラストのセリフが強烈なメッセージを伝えていた。
次々と名場面、名セリフが蘇ってくる。

100歳になっても毎日書斎で小説を書いていたという。

たくさんの感動をもらった橋本忍さん。やすらかに。

「万引き家族」


 

親の死亡を隠して年金を不正受給していたというニュースに着想をえたという是枝裕和監督お得意の家族の形や社会問題を描く。
第71回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。
監督の受賞後記者会見での作家としてのスタンスに共感した。

話題性もあり2週目でも劇場は混んでいた。

お父さんと呼ばない息子、家庭内暴力から逃れてきた女の子、いっしょに住む家族が、いやでも引き離されることになってからの展開が映画の核。
現実と希望が複雑に交錯しながらも、家族それぞれ生きる力と・・・。

役者を自由に演技させてリアルさを引き出す監督。
リリー・フランキー安藤サクラ樹木希林と子役たちの自然な演技には驚く。

2004年にカンヌ国際映画祭で高い評価を得た監督作「誰も知らない」は、取り残された家族、それぞれに父親の違う4人兄妹の自立を描いていて、本作と同じような題材。
監督は14年も前に家族の問題を鋭く描いていて、まさに時代も先取りしていたのだ。

「モリのいる場所」

1977年に97歳で他界した画家、熊谷守一

今年3月に、東京国立近代美術館で、
「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」展
を観て、花や虫など身近な生きものを描いた独特の作風に共感した。

だからこそ熊谷守一とその妻秀子の一日を描いたこの映画を楽しみに待っていて、今日公開初日に観てきた。

画家を描いているのに、絵を描く場面がない(書を書く場面はあるが)。
それでいて、画家の姿、画家の眼、何をどのように絵を描くかが観客に伝わってくるから不思議。
絵を描く場面がない見事な画家の映画。
近所の人が寄り集まる日本家屋、鳥や虫・昆虫のいる庭、失われつつある世界もよみがえってくる。

山崎努樹木希林のふたりが出ずっぱりで夫婦の機微を演じてみせる。
オリジナル脚本を手がけた沖田修一監督(「南極料理人」「横道世之介」)の手腕が光る、想像力をかきたてられる味わい深い映画。

「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」

映画は時代を映す鏡。実にタイムリーな映画だ。
原題は、「THE POST」(ワシントン・ポスト紙)。
日本題名「ペンタゴン・ペーパーズ」は、ベトナム戦争時に国防総省(ペンダゴン)がベトナム戦争について客観的な調査・分析をした大量の最高機密文書のこと。
政府が隠したその機密文書を公表すべく動くワシントン・ポスト紙記者らの姿を描く。

ワシントン・ポスト社主にメリル・ストリープ・記者にトム・ハンクス、という2大オスカー俳優を揃え、その時代の女性の苦悩を描き、誰にでも解りやすくみせる展開、グイグイ観客を引っぱっていく演出、
さすが!スティーブン・スピルバーグ監督。
ひとりでも多くの観客に見てもらいたいという監督の気持ちがあふれていた。
トランプ大統領のマスコミ圧力に危機感を得ての映画化だろう。

ラストは、民主党本部盗聴事件であるウォーターゲート事件発生が描かれて、記者の活躍が連続している歴史も示す。
名作「大統領の陰謀」が製作されたのは、1974年8月ニクソン大統領が辞任してから、わずか2年後だった。ハリウッドも頑張っている。

多くの日本人にも今観てほしい映画。

アニメーション映画ベスト10本

ピクサー製作の新作アニメ「リメンバー・ミー」を観た。
死者の国を扱いながら明るく快活に、予想を超える展開が実に面白い。
勇気と冒険、家族愛というアニメ映画の王道をいくなか、物語も実に感動的。
主題歌はアカデミー賞受賞にふさわしく、実にピタリはまって泣ける。
アニメ映画の”傑作”として残る作品。


ということで、私が選ぶ
映画館で観たアニメーション映画ベスト10本>。
とても順位はつけられないので、製作年度順です。

「白雪姫」(1937年・ディズニー)
「ファンタジア」(1940年・ディズニー)
風の谷のナウシカ」(1984年・宮崎駿
となりのトトロ」(1988年・宮崎駿
おもひでぽろぽろ」(1991年・高畑勲
トイ・ストーリー」(1995年・ジョン・ラセター
老人と海」(1999年・アレクサンドル・ペトロフ
「サマーウオーズ」(2009年・細田守
君の名は。」(2016年・新海誠
リメンバー・ミー」(2017年・リー・アンクリッチ)


「白雪姫」は大学生時代に名画座で観た。
すでに「バンビ」や「わんわん物語」などディズニー作品は多く観ていたが、これには脱帽。
これが1937年製作というのも驚き。七人の小人たちはアニメ映画史上最高のキャラ。

「グレイテスト・ショーマン」

実在した興行師P・T・バーナムの半生を描くミュージカル。
1952年に製作された大作「地上最大のショウ」のモデルとなった人物だ。

傑作「レ・ミゼラブル」のヒュー・ジャックマン主演だけあって、冒頭から素晴らしい歌唱力で観客を釘づけ。
子供時代の場面で、パンを盗み逃げるという、おまけも。

ラ・ラ・ランド」でアカデミー賞を受賞したジャスティン・ポールとベンジ・パセックが音楽を担当ということで、主題歌をはじめオリジナル楽曲も魅せる。

深いドラマではないが、とにかく華麗なミュージカルとして、誰もが楽しめる作品となっているのが、いかにも往年のハリウッド・ミュージカルを再現していて嬉しい。