映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「スリー・ビルボード」

題名の「スリー・ビルボード」というのは、閑散とした田舎の道路わきに設置された3枚の看板。
未解決レイプ殺人の地元警察の怠慢を批判する広告看板だ。
このメッセージを出したのは娘を殺された母親。
さて、この田舎町の人々は・・・
映画的な巧みなプロットに、初めから引きずり込まれる。

主役は3人。
娘を殺されて怒るミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)。
苦境に立たされた警察署長のウェルビー(ウディ・ハレルソン)。
署長の部下で差別的言動の巡査ディクソン(サム・ロックウェル)。

この3人のキャラと名演技がドラマを深いものにしている。
なるほど、3人とも今年のアカデミー賞にノミネートされているのが納得。

暴力、差別、憎しみ、怒り・・は、この田舎町だけの問題に留まらない。

悪に立ち向かうミルドレッドとディクソン二人の道行に暗示される答えは?
観客ひとりひとりの胸にずしんと響く。

アカデミー賞作品賞ほか有力候補作の傑作であり、是非とも観てほしい。

2018年アカデミー賞 大胆予想

このブログで毎年恒例のアカデミー賞予想時期となりました。
昨年WOWOW生中継で授賞式を見ていて、私の予想が5勝1敗と好成績!
と思ったら、最後の作品賞発表で予想した「ラ・ラ・ランド」との発表が、なんと撤回されるハプニング。
そのため私の予想は4勝2敗となった年でした。

今年は、ギレルモ・デル・トロ監督の「シェイプ・オブ・ウォーター」が13部門ノミネート。
ほか「ダンケルク」と「スリー・ビルボード」が有力候補作との前評判。
ギレルモ・デル・トロ監督とクリストファー・ノーラン監督は二人とも大好き!なので、作品賞と監督賞を分け合う予想としました。


主要6部門、私の予想は、

☆作品賞予想=「シェイプ・オブ・ウォーター」<写真>
   監督得意のモンスター映画に受賞させたい。 

☆監督賞予想=クリストファー・ノーラン(「ダンケルク」)
   CGを一切使わないで本物志向に徹した監督の技量に脱帽。

☆主演男優賞予想=ティモシー・シャラメ(「君の名前で僕を呼んで」)
   本命はゲイリー・オールドマン(「ウィンストン・チャーチル」)なのだが、
   22歳の若手ティモシー・シャラメが受賞すれば事件です。

☆主演女優賞予想=フランシス・マクドーマンド(「スリー・ビルボード」)
   こちらは本命。

助演男優賞予想=サム・ロックウェル(「スリー・ビルボード」)
    
助演女優賞予想=アリソン・ジャネイ(「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」)
    

また日本人話題では、「ウィンストン・チャーチル」で主演ゲイリー・オールドマンの特殊メイクを担当した辻一弘氏が、メイクアップ&ヘアスタイリング部門にノミネート。
最有力候補となっているようだ。

大関心事は、セクハラ問題で揺れるハリウッド。
授賞式ではどう対応するのだろうか?

アカデミー賞授賞式は1か月後の3月4日(日曜日)。
さて、今年の私の予想は、如何に?

「デトロイト」

昨年の「ダンケルク」や「ハクソーリッジ」と同様に、観客がその時・その場所を体感する映画。これが映画の醍醐味。

1967年のデトロイト、連日暴動が続く中で起きた事件の実話を描く。
その緊張感 リアリティ映像は半端じゃない。
それもそのはず。「ハート・ロッカー」「ゼロ・ダーク・サーティ」と衝撃作を連発したキャスリン・ビグロー監督最新作である。

人種差別問題を扱っているが、わが国でもイジメ、ヘイトスピーチ、悪業の隠蔽・・とどまらない問題がダブってみえて、衝撃を受けた。
是非劇場で体感してほしい。

「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」

待望のSWシリーズ・エピソードⅧ。
前作「フォースの覚醒」をもう一度観直してから劇場へ。

フォースの力に目覚めたレイ、暗黒の世界へ行ったカイロ・レン、行方不明だったルーク・スカイウォーカーへとの再会・・・
前作直後から始まり、怒涛のアクション展開で、あっという間に終わってしまった。
やはり、面白い!
SWシリーズは、こうでなくては。

ラストには一人の少年の姿が。
世代交代の到来というのだろうか。
それとも、今後この少年を主人公にしたエピソード10以降もあるというのだろうか。
このシリーズ親子の物語だけに、次の世代にも受け継いでいってもらいたいというのがファンの期待だ。

新年ご挨拶

あけましておめでとうございます

2006年1月のブログ開設から、週2回投稿をめざして
書き始めたブログは、もう13年目となりました。
最近では月2回程度の投稿となっていますが、
これからも無理せず気ままにアップしていきます。
引き続き今年もよろしくお願い申し上げます。

不透明な時代ですが、ゆったりと映画鑑賞や芝居を楽しめるような
平和な一年と願うばかりです。

           平成30年元旦

2017年のベスト映画10本


1.「ダンケルク」(クリストファー・ノーラン監督)
 圧倒的な臨場感で、戦場を体感する映画。
 命の尊さを強烈に体感した映画でもあった。


2.「人生フルーツ」(伏原健之監督)
 ”人生は、だんだん美しくなる”ということを証明してみせた。
 コツコツ、ゆっくり。Life is Fruity 題名どおりの幸福感。


3.「ラ・ラ・ランド」(デイミアン・チャゼル監督)
 一発生撮りでのワンカットは、 カメラワーク、色彩感覚抜群で、
 まさに舞台感覚の醍醐味。一気に見せる最後のシーンに酔う。


4.「彼女がその名を知らない鳥たち」(白石和彌監督)
 この究極の恋愛映画は、蒼井優の名演あればこそ成り立つ。


5.「婚約者の友人」(フランソワ・オゾン監督)
モノクロとカラーを使い分けた心理描写で迫る緊張感がたまらない。


6.「ブレードランナー2049」(ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督)
ハリソン・フォードをキャラ立てし、壮大なテーマを提起して 
 新たなブレナンを創造した。


7.「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(ケネス・ローナガン監督)
人間の痛み、悲しみが静かに胸に迫ってくる感動作。


8.「ハクソーリッジ」(メル・ギブソン監督)
 沖縄戦の熾烈な戦いを目のあたりにした。
 これが実話というから、また衝撃。


9.「美女と野獣」(ビル・コンドン監督)
 アニメ版より、キャラクターの造形が深く心理描写も丁寧なのが成功。
 聴かせどこをきちんと押さえた演出に、またまた感動。


10.「聖杯たちの騎士」(テレンス・マリック監督)
これまでの監督作より、説明やセリフがさらに少なくなって、
 まるで現代アート映像作品のようだ。 

「ローガン・ラッキー」

”全米最大のモーターカーイベントで現金強奪”
と聴いただけで、観たくなる映画。
この手の現金強奪ものは大好き。
「男の争い」「マダムと泥棒」「現金に体を張れ」「黄金の七人」等々の多くの傑作を若かりしときに観ていたからであろうか。

2013年に監督引退宣言をしていた「オーシャンズ11」シリーズのスティーヴン・ソダーバーグの復帰第1作。
実行犯が呪われたローガン一家という設定で、本格サスペンスものでなく、あくまで軽いノリで作られているから、観客も軽いノリで楽しむのがよい。

出演スターたちも豪華。
とりわけダニエル・クレイグが、爆破のプロで現在服役中という007と真逆キャラで、いい味を出している。

最後のオチも楽しめました。
これから映画を観る人は、”盗みのための10か条”をしっかりと覚えておいてください。