映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「モリのいる場所」

1977年に97歳で他界した画家、熊谷守一

今年3月に、東京国立近代美術館で、
「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」展
を観て、花や虫など身近な生きものを描いた独特の作風に共感した。

だからこそ熊谷守一とその妻秀子の一日を描いたこの映画を楽しみに待っていて、今日公開初日に観てきた。

画家を描いているのに、絵を描く場面がない(書を書く場面はあるが)。
それでいて、画家の姿、画家の眼、何をどのように絵を描くかが観客に伝わってくるから不思議。
絵を描く場面がない見事な画家の映画。
近所の人が寄り集まる日本家屋、鳥や虫・昆虫のいる庭、失われつつある世界もよみがえってくる。

山崎努樹木希林のふたりが出ずっぱりで夫婦の機微を演じてみせる。
オリジナル脚本を手がけた沖田修一監督(「南極料理人」「横道世之介」)の手腕が光る、想像力をかきたてられる味わい深い映画。