映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「おとうと」


加入しているCATV(試写会)で観た。

 

ひとり娘の結婚式に突然闖入してきたダメ弟が、酔払って大騒ぎに。

まるで「男はつらいよ」の雰囲気ではじまるが、姉(吉永小百合)と弟(笑福亭鶴瓶)の絆と”別れ”を描く。
これまで家族を描いてきた山田洋次監督作品らしいテーマだ。

 

ホームレス状態となった弟の最後のケアを支える人々、
人生最後の「看取り」といったテーマなど社会が抱える問題もきちんと描いていて、共感するところが多い。

 

弟が病弱となっていく場面までの減量も大変だっただろうと推察されるが、あくまで自然体の笑福亭鶴瓶のキャラはお見事。

 

問題ばかり起こしている弟は、寅さんに重なり、ベッドに寝た弟と姉がリボンのひもで結ばれるシーンは市川崑監督の名作「おとうと」に重なる。
山田洋次監督は市川崑監督作品にオマージュを捧げ、同じタイトルをつけたというが、同時に山田監督自身の「おとうと」のような寅さんとの”別れ”へのオマージュのような気がしてならない。

 

観終わって、やさしい気持ちがあふれる映画だ。