映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

文楽「奥州安達原」

国立劇場小劇場の文楽9月公演を、申し込み初日に
インターネットで申し込んだが、第一部はすでに完売。
第二部のほうを観ることができた。
劇場はさすがに、満席。

今回は人形遣いの吉田清之助が亡き師の名跡「豊松清十郎」襲名披露の舞台。
人形遣いの芸名は、吉田か桐竹姓のふたつしかないと思っていたので、豊松姓は新鮮。

観た第二部は、「奥州安達原」三段目・四段目。
平安後期に、源頼義・義家親子が奥州の安倍頼時を長とする安倍一族を滅ぼした「前九年の役」の後日談で、お家再興の物語。

三段目は2時間半だが、緩急ある舞台で、長さを感じさせない。
盲目の袖萩が両親に自分の身の上を語り、娘をあなたの孫だと紹介する泣かせの場面が見せどころ。

25分の食事休憩があとは、舞台は明るい道行となる。
この道行で、観客は気分転換できる。

休憩15分の後は、四段目。
安達ケ原(福島県)に伝わる「一ツ家伝説」の鬼婆をからめた舞台。
今年2月公演の「義経千本桜」狐忠信で宙吊りを演じ、大ファンとなった人形遣い
桐竹勘十郎が老女岩手を操る。これが怖い。
豊竹咲大夫が怪我のため替わった文字久大夫は熱のはいった語り口。

太夫の語り、三味線、人形の三業が一体となって・・
4時開演から9時終了までの5時間、伝統芸能文楽の醍醐味をたっぷりと味わうことができた。
これで1等席6,500円とは、安い贅沢。