映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

文楽で観る 「仮名手本忠臣蔵」

文楽人形浄瑠璃芝居)は、三百年以上の歴史がある世界に類をみない伝統芸能
観るたびに、日本文化のレベルの高さ・深さに驚く。
太夫の語り、音楽としての三味線、人形の演技、この三者が一体となって織りなす世界。

今日は、文楽の代表的演目である「仮名手本忠臣蔵」通し狂言を観に国立劇場小劇場へ行ってきた。
通し狂言は、三部構成で全十一段、10:30から始まり終演は21:30。
その大序から四段目までの第一部を観た。

師直(吉良上野介)と若狭助の争い、師直の横恋慕、おかると勘平の逢瀬と、悲劇の伏線が巧みに用意される。
そして師直を斬りつけるはずだった若狭助に変わって、鮒侍よばわりされた塩谷判官(浅野内匠頭)が刃傷におよぶ。たまたま控えていた本蔵が判官を後ろから抱き止めてしまったために師直は逃げ出す。
そして見せ場の切腹、城明け渡しまで、この展開のうまさにほんとに感心する。

四段目「塩谷判官切腹の段」は、張り詰めた緊張が求められるため古くから客席への出入りが禁止される。
国立劇場でもあらかじめお願いがあり、客席を移動するひとはいなかった。
こうした伝統を重んじるのもいい。

帰りにはお墓参りをして、文楽鑑賞が大好きだった亡き兄を偲んだ一日でもあった。