映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「もうひとりの息子」

イスラエルパレスチナという対立する民族の新生児が出生時にに取り違えられる。
18歳に成長したふたりの息子に、その事実が明らかにされたとき、息子は、ふたつの家族は、どんな選択をするのか・・

フランス人女性の監督のロレーヌ・レヴィが、衝撃的なテーマに挑んだ感動作だ。
是枝裕和監督の「そして父になる」と同じような事件がテーマなのだが、この映画は、さらに宗教、政治、言語の違いが絡む。
道路に延々と続く両民族を隔てる”壁”の場面が象徴的。
その”壁”を乗り越えようとするのは、父親でも母親でもなく、取り違えられた息子同士で、そこに未来をみつめる若者に希望の光がみえてくる。

センシティブな国際政治問題を取り上げながらも、誰もが共感できる優れた家族映画に仕上げられていて、じわり心に沁みた。