映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「いとしきエブリデイ」

マイケル・ウィンターボトム監督の映画製作技法に驚嘆した。

実際の兄弟姉妹4人の子役の自宅を撮影場所に使って、5年間の物語を5年かけて撮影するという映画づくりだ。
だから次男の子はおしゃぶりを咥えていた頃から、やんちゃで活発な子へと成長していく跡がアルバムを見るように克明に描写される。

毎朝子供たちを起こし、食事、歯磨き、学校へと送る母親の日々。
時々、服役中の夫へ面会に行く。夫は面会が終わると獄舎に戻り、ベッドに横たわる。
この繰り返しの毎日が続く。
それを多くの説明もなく淡々とカメラは捕える。
変わらない自宅周辺の美しい田舎の自然。
いまでも「ピアノ・レッスン」サントラCDを愛聴している大好きなマイケル・ナイマンのピアノ音楽が、この映画でもピタリ。

希望の光がさしているラストはグッときた。
さらに単調な毎日(原題「Everyday」)が、実は大変貴重な日々であることに気づかされてしまうことに驚くこととなる。