映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「ベルファスト71」

19「71」年の、北アイルランドの都市「ベルファスト」。
その街は、プロテスタント系住民とカトリック系住民の対立が激化していた。

そんななかイギリス軍の新兵ゲイリーが家宅捜査で赴任するが、住民たちの暴動に巻き込まれ、ひとり取り残されてしまう。
状況もわからず赴任してきて、誰が敵なのかもわからず、ただ逃げるだけ。
孤立無援の恐怖が、ひしひしと画面から伝わってくる。

麦の穂をゆらす風」などIRA北アイルランド問題の核心を描いた傑作映画は多い。
この映画には、政治的メッセージは無い。
あるのは、1971年のベルファストでの一夜の体験だけ。
観客は、新兵ゲイリーとともに、体験を共有する。だから、怖い。

監督のヤン・ドマンジュは、これが初長編だそうだ。
手持ちカメラの臨場感、画面が若々しい。

先月、東京渋谷のトルコ大使館前で、トルコ人同士の激しい乱闘があったが、平和のような日本でも民族対立に突然巻き込まれる。
この映画を観ていると、決して他人事のように思えなくなる。

71年の物語でなく、時代を超えて起きている問題を鋭く切り取った衝撃作といえる。