映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「そして父になる」

是枝裕和監督の代表作である「誰も知らない」は、母に置き去りにされた4人の子供たちの自活生活という実際に起こった事件から着想を得た作品だったが、監督最新作も子供の取り違えという事件を描く。
取り違えが判明するのが6年経過してからなので、なおさらショッキング。
同じ年代の自分の息子夫婦と重ねあわせてしまい、身につまされる。

都会のマンションに住むエリート社員福山雅治尾野真千子と、地方で電気店を営む庶民リリー・フランキー真木よう子の夫婦。
育った環境も子育て方針も対照的なふたりの子供。
父は、母は、子供は、それぞれ何を考え、どう決着するのか、もう画面に釘付けだ。
答えが出ないまま淡々と進むなかで、監督の一貫したテーマである”家族とは?”を観客に投げかけ、最後の答えは、観客に委ねる。

リリー・フランキーと、彼の大ファンという福山雅治の二人がハマっていて、役者が本業か!と思わせるほど。

ドキュメンタリー畑出身の監督だけに冷静な視点で重いテーマを鮮やかに描きだした力作。