映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「25年目の弦楽四重奏」

クラシック音楽では、“弦楽四重奏曲”が私の好きなジャンル。
爽快なハイドン、激しく華麗なモーツアルト、哀愁帯びたドボルザークなど、愛用のi-podにダビングして気分に応じて聴いている。
そしてベートーベンの弦楽四重奏曲は、そう単純ではなく、多面な顔を見せる。
だからこそ何回聴いても飽きがこないのだが、それが魅力。

この映画は、そのベートーベンの「弦楽四重奏曲第14番(作品131)」をモチーフに、休みなく続け25年目を迎えた弦楽四重奏団のメンバー4人を描く。
この曲は、異例の長い7楽章という楽章の間に休みを入れずに、40分間も演奏を続けるという難曲。

この難曲と4人の人生とダブらせて見事なハーモニーを奏でるという絶妙の映画で、クラシック音楽ファンならずとも、うならせる仕上がり。

「第一ヴァイオリンはリード、第二ヴァイオリンは自分を抑えて第一ヴァイオリンを引き立てる、ヴィオラは紅一点で花を添え、チェロは一座の引き締め役」とスタンダールが言ったそのままの人物像が、人生観が、次第に脆さを表出してくるドラマティックな展開となる。

そして、パーキンソン病症状がでたチェロ奏者は、この難曲を最後まで演奏し続けられるのか?という終局に向かって進んでいくが、ハイドンのごとく爽快な気持ちになって終幕するので、名演奏を1曲聴き終わった味わいだ。

毎日クラシック音楽CDを聴きながら眠りについているので、今夜は、アルバン・ベルク四重奏団による10枚組CDから、この「弦楽四重奏曲第14番」の1枚をを聴くとしよう。