映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「希望の国」

地震による原発事故で翻弄される家族を描く、衝撃作。
希望が持てない現実でも、あえて「希望の国」という題名にした園子温監督の覚悟がみえる。

この題名から、大島渚監督27歳のデビュー作を思い出した。
監督自身のオリジナル脚本「鳩を売る少年」は、愛も希望もない現実を鋭く描く作品なのだが、映画公開直前になって松竹の側で勝手に「愛と希望の街」という題名に変更され、監督を腐らしたという。
このアイロニカルな題名から日本でのヌーベルバーグが始動したのだ。

テレビに映る原発ニュース、チャンネルを変えるとお笑い番組で他人ごとのように語っている場面には、ドキリとした。
この映画で描かれる家族の悲しみや苦しみは、時が経てば忘れがちな「福島」のことを、決して風化させてはならぬというメッセージが痛烈に伝わってくる。

「映画は時代を映す鏡」どおり、
いまこの時に作らるべくして作られた映画ということに喝采