挨拶は住大夫で始まり、三味線の鶴澤寛治が続く。
鶴澤清治は、先代には”夜の課外授業でお世話になった”と、やわらかムードで場内を沸かせた。演目の、「源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき)」は、歌舞伎では「実盛物語」で有名な名作。
私の経験からすれば、文楽鑑賞に通いはじめた当初は、どうしても人形に眼がいき、その人形振りばかりに感心していたが、何年か経つと次第に大夫の語りに引きこまれていく。それから大夫の語りに色を添える三味線の音に味わいを感じるようになってくる。
今回の”実盛物語の段”では、大夫・三味線・人形がまさに一体となって武将の姿を浮き彫りにして胸にせまってきた。
これこそ、文楽の独壇場。
→ 開演前のロビーには、勘十郎や和生らと
人形も一緒になって義援金を募っていた。