映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

傑作だ!「ブラック・スワン」

白鳥の湖」の主役に抜擢された純真なバレリーナ
ひとり二役の官能的な黒鳥(ブラック・スワン)を表現できない苦悩。
彼女を狂気に追い詰めるのは、
母親?、演出家?、ライバル?、それとも自分自身?・・・

エンドタイトルの最後まで、次はどうなるのか、相手は何を考えているのか、わからない。

このサスペンスに眼が離せない。

繰り返し出てくる背中の傷は、いったいどうしたのか。
不安感をあおる小道具がちりばめられて、ドラマはぐんぐんと進む。
その緊張感、ぞくぞくする面白さ。

そして、黒鳥を官能的に踊るクライマックスへと、なだれ込む。
映画という世界でしか味わえぬ興奮だ。

だから、この映画の場合には、”背中の傷は?”などと細部を追及してはいけない。
観客は、ヒロインの不安感に釘付けとなっていれば良い。
これがサスペンス映画鑑賞の心得。

この映画が成功した最大の貢献者は、ナタリー・ポートマン
純真さと狂気を併せ持った迫真の演技が、観客を取り込む。
最後のシーンでは、”ブラボー!”と、叫びたくなった。

「か弱な美女に不安が襲う」という心理サスペンスは、ヒッチコック監督お得意の題材。
夫に対する疑惑が積み重なる「断崖」や、大邸宅に先妻の亡霊がだぶる心理的不安を描いた「レベッカ」を思い出した。
ヒッチコキアンでなくても必見。

サスペンス映画の傑作誕生だ!