映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「ダンシング・チャップリン」

銀座テアトルシネマは、いまだに満席。
前回は上映40分前で売り切れだったので、今回は1時間前に行き、どうにか座席を確保。
「黄金狂時代」「モダン・タイムス」「ライムライト」「キッド」「犬の生活」など、チャップリンの名場面が、ルイジ・ボニーノと草刈民代のバレエで甦る。

バレエの舞台を観たことがない私にも、バレエの魅力を十二分に堪能できた。
美しい!
なかでも、「街の灯」には、まいった。

これは、まぎれもない周防正行監督の作品。
奥様の草刈民代が引退することで作ったバレエ記録ではなく、映画として見せているところが魅力だ。
それは、映画化するまでの舞台裏を記録した第1幕があるから。
監督本人も出てきて、警官を野外の公園で撮りたいが、”それなら、映画は中止!”と
OKがでないので、”なにか作戦を考えなければ”と、ひとりごと。
本番第2幕でのバレエ・シーンでは、野外の公園で撮影されていた。
いったいどんな作戦をとったのか、こういう場面で監督のプロ魂がわかる。
また、草刈民代がパートナーの交代をボニーノに訴えるところなど、彼女のプロ魂もきちんと描く。
そう、主役のボニーノを含め全員がプロの世界。これがみどころ。

本編も面白いが、舞台裏も。

周防監督が書いた本「Shall weダンス? アメリカを行く」(文春文庫)は、映画「Shall weダンス?」(96年)がアメリカ公開されるまでの経緯や契約トラブル、18都市での上映キャンペーンの旅日記と、映画製作の舞台裏の本で、すこぶる面白い。
監督本人も、これで舞台裏の面白さに味をしめていたのかもしれない。
そして、今回もまた監督自身が書いた本「周防正行のバレエ入門」(太田出版)が出版された。これも映画第1幕の舞台裏だという。面白そうだ。