映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「SOMEWHERE」

映画というのは虚構の世界で、作りもの。
それが興味深く、面白いのだが、この映画には”虚構”とか”作りもの”という感覚がない。
あくまで”自然体”なのだ。

そういう、ちょっと不思議な感覚が体感できる映画。

ハリウッドの映画スター、マルコ(スティーヴ・ドーフ)のもとに前妻と同居する11歳の娘クレオエル・ファニング)が訪れる。
娘といっしょに過ごす時間が淡々と語られる。
スケートリンク、ホテルのプール、卓球などの描写力には驚く。
自然な光、淡い色、クレオの優し笑顔、少ない会話、あまりの自然さに観客がいまいっしょに体験しているかのような感覚である。
背景に流れる音楽が、美しい。

その淡々とした時間が、いとおしく幸福だと気づいたとき、マルコは一歩踏み出す。

偉大な映画監督をもった自分の体験をダブらせたソフィア・コッポラ監督のヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。
監督名で言えば、ジム・ジャームッシュ河瀬直美ような日常を淡々と綴る作風で、数少ない"新感覚派の監督"だ。