映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「舟を編む」

今年1月〜3月にテレビ東京系で放映されたテレビドラマ「まほろ駅前番外地」(監督・脚本は大根仁)は実に面白かった。
松田龍平演じる行天(ぎょうてん)役が映画「まほろ駅前多田便利軒」から更にキャラが立ってハマっていたので、それを楽しみに毎週観ていた。
(このテレビドラマは大好評だったので、先日映画館でも上映されたほど。)

まほろ駅前シリーズと同じ三浦しをん原作の映画「舟を編む」も、松田龍平演じる馬締(まじめ)役が見ものだ。
まじめ、不器用で会話が苦手、まほろのぎょうてん役とは、打って変わってのまじめ役を好演している。

これまでの映画にはなかったキャラが主役を演じ、しかもそのキャラが妻(宮崎あおい)の言うとおり”やっぱり、面白い”のだ。
それにしても松田龍平宮崎あおいをはじめ、オダギリジョー渡辺美佐子伊佐山ひろ子加藤剛と脇を固める役者も素晴らしいので「新しい辞書を作る」という内容の一見単調なドラマであっても、おもわず登場人物たちに共鳴してしまい、2時間13分の長丁場を飽きさせない。

辞書作りの過程で、辞書に使用する紙質の”ぬめり感”にこだわる場面がある。
そう、細部へのこだわりは、この映画全編にもあって、丁寧な映画作りによってドラマに息が吹き込まれていて、それが心地良い。
本屋大賞ばかりでなく、映画ファンが選ぶ心地良い”映画大賞”もの。

川の底からこんにちは」の新鮮なユーモア感覚に仰天し、「あぜ道のダンディ」では若い監督なのに見事に中年世代の気持ちをエグリ、「ハラがコレなんで」では粋と人情のヒロイン像に挑戦して、毎回映画作りの巧さに驚かされてきた石井裕也監督。
今回は堂々たる真っ向勝負で本領発揮。
あらゆる役者が石井監督作に出演したいと要望することだろう。

大好きな作家三浦しをん原作本は購入済みだが、映画化を知ってツンドク。
この”ツンドク”って、「用例採集」になりませんか?
やっと読める。これから本でも楽しむぞ。