クリント・イーストウッド監督の最新作は、“死後”
がモチーフ。
80歳を超えた老境の監督は、脚本を渡されて読んで「見たことがない映画になりそう」と、快諾したという。
人間の持つ内面や苦悩、寂しい人間同士の心の繋がりを鋭く、それを静かに描く映画。冒頭の津波シーンから、まず圧倒される。
”臨死体験”が重要なファクターであり、津波にのまれる場面は丁寧に描かれて当然。この冒頭映像で、観客は津波でなく不思議な世界へと、呑みこまれていく。臨死体験で、死後の世界を見た女性ジャーナリスト、
死者と話ができる能力に悩む男(マット・デイモン)、
事故で兄を失った失意の少年、
この3人の悩める人生が交錯して描かれ、最後に見知らぬ3人が遭遇する大円団に。
最後まで観客を引きつけるストーリーテラーぶりには、いつもながら感心する。そして、最後には感動の余韻がじわりと残る。
"良い映画を観た”という喜びに、ひたれる。
イーストウッド監督に失敗作は、ないぞ。