文楽の魅力をたっぷりと教えてくれるお奨めの入門書
(豊竹英大夫監修。三一書房刊)。
舞台や人形等の説明に一切写真は使っていない。
廣田修 画伯のイラスト「熱烈図解十八番」は、すばらしい出来。
実際の床本を見ながら太夫の語る義太夫を読者が実践できる「誌上義太夫教室」があり、このイラストを本屋さんで見て、衝動的に購入してしまったほど。
人形のかしらが動くパラパラ漫画「団七高笑い」のおまけもある。入門書とはいっても、内容は深く、するどい視点で、文楽の魅力をあますことなく伝えている。
特に、難解でとっつきにくい文楽の物語についての解説が若い筆者が現代の眼から掘り起こされていて、感心する。
最近の文楽入門書は、三浦しをんなど30歳代・40歳台の女性が書いていて、次の若い世代へと着実に伝承されているなと思わされ、喜ばしいかぎりだ。