映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「アキレスと亀」


北野武監督の前作「監督・ばんざい!」は、
思いつきだけで撮影に入ってしまうキタノ・タケシ監督
が主人公で、監督自身の何をやってもうまくいかない
焦りや恐怖を描いていた。
こんな監督を「世界のキタノ」なんて言ってると
世界は爆発するぞ!というような自虐的ラスト。

 

最新作「アキレスと亀」は、その続編ともいえるだろう。
前作が興行的に失敗し、評価も今一歩の結果に終わったが、またも北野監督自身を描く映画だ。

特異な作家だけに、興行的にもヒットして欲しいと願う。

 

真知寿(まちす)という主人公の画家は、自分の才能を信じてやまない。
売れない真知寿は、画商のアドバイスに従って次から次へと挑戦していくが、うまくいかない。

 

周囲では、家族や友人が死んでいく。
伏線もなく、まえぶれもなく、突然に。
こうした死の描き方は、さすがに才気あふれた演出。

 

絵のことしか頭にない真知寿亀に永遠に追いついていけない伴侶アキレス(樋口可南子)だが、真知寿と共に歩み続ける。

北野監督自身が、なお映画を作っていくという高らかな宣言なのだろう。

 

宣伝用チラシにある”夢を追いかける夫婦の物語”というより、

北野武の個人映画”として観ると、この映画 なかなか面白く、味わい深い。