映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

日本のベスト美術館

美術の秋、久しぶりに美術の話題を。
雑誌「Casa BRUTUS」今月号は、「日本のベスト美術館と世界の最新ミュージアム」特集。

この雑誌で建築・アート関係者20人が選んだ”日本のベスト美術館”は、
 建築部門が「金沢21世紀美術館
 展示部門が「ベネッセアートサイト直島

金沢21世紀美術館」が、ベスト建築部門というのは誰もが納得。
巨大な円形の建物、ぐるりとガラス張り、正面玄関といえるものがない、敷地は芝生で囲まれているという現代アートを展示する建物に、ふさわしい。
設計したのはSANAA妹島和世西沢立衛)。
中庭には、プールがあり、これがアート作品かと、初めて見た時は衝撃を受けつつも笑ってしまった。
プールの底に見える動く観客もアートと化する。
レアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」という作品。

ベネッセアートサイト直島」は、瀬戸内海に浮かぶ小さな島「直島」にある。
安藤忠雄設計の「地中美術館」・「李禹煥美術館」・「ベネッセハウス」などの瀬戸内海の景観にマッチした一級の美術館ばかりでなく、島内の海岸や古民家・路地、いたるところに現代アート作品がある。
展示作品のレベルの高さのみならず展示方法にも驚きと感動が待ちうけていて、絶妙な展示空間なのだ。
だからベスト展示部門に選ばれるのも、うなずける。

さて、私の選ぶ”日本のベスト美術館”は、「豊島美術館」。
前記の直島から高速船で15分の「豊島」へ。港からレンタサイクルで豊かな自然のなかを30分ほど行くと、瀬戸内海を背景に美しい棚田の奥にある白い建物が豊島美術館だ(写真上)。

建物内部は、泉をテーマにした内藤礼の「母型」という、ただ一つのアート作品があるだけ。
西沢立衛の設計による建築と一体となった作品。
二つの建物開口部からの陽光や風の音を感じながら、入場者は寝ころびながら、お喋りしながら、長い時間をかけてアートと対話ができるのだ。
日常から解放された貴重な体験ができた。
亡き母のこと家族のことなどいろいろ思いだしながら、これもアートの力なのだなーと発見する機会でもあった。