映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

ヒッチコックのカメオ出演・ベスト5

ヒッチコックといえば、自分の映画に一場面だけ顔を出すことでも有名。
登場のしかたとしては、通行人の役が最も多く、列車に乗るところなど乗物とともに登場することが何度もあって、監督の乗物好きがよくわかる。
その他カメオ出演のために、いろいろな努力や工夫があって興味はつきない。
ユーモア精神が一杯。<私が選ぶカメオ出演場面ベスト5>


1.泥棒成金(1955)
バスの最後部にキャット(ケーリー・グラント)が座ると、老夫人の鳥かごのカナリアが騒ぎ出す。
カメラが右にパンすると隣に座っているのがヒッチ。
宝石泥棒キャットが来たという洒落。サイレント期屈指のスリラー映画「猫とカナリア」をひっかけたユーモア。
泥棒映画の、はじまり、はじまり!


2.北北西に進路を取れ(1959)
ソール・バスのお洒落なタイトルの最後、ヒッチコック監督の名前が出たあとにヒッチ本人が現れて、バスのドアが目の前で閉まって乗り遅れてしまう。
監督は乗り遅れたが、事件に巻き込まれるのは、あなたたち観客ですよ。


3.ファミリー・プロット(1976)
戸籍係のドアの外に映るシルエット姿のヒッチ。
監督の遺作となった映画で、最後の姿がシルエット。有名なテレビ番組「ヒッチコック劇場」でも毎回シルエット姿から始まっていたのも不思議な縁だ。
監督を敬愛したトリュフォーの対談集「ヒッチコック映画術」本の表紙にも採用された。


4.救命艇(1944)
救命艇のなかで読んでいる新聞に掲載されているダイエット(やせ薬)広告写真の男がヒッチ。
ヒッチの姿は”使用後”ではなく、もちろん”使用前”の写真。
この映画は救命艇に移ってからは、狭い救命艇の場面だけなので、ヒッチ登場場面が限定されてしまう。そこはさすがのアイデア勝負で決めた。
このユーモアが長い航海の、息抜きとして絶妙なのだ。


5.ゆすり(1929)
地下鉄車内、隣座席の子供に帽子をいたずらされたりしながら本を読んでいるのがヒッチ。
カメオ出演場面としては長く、若きヒッチの迷惑顔の演技が見もの。