映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「横道世之介」

ゆったりと流れる2時間40分の映画だが、長く感じない。

1980年代、長崎から法政大学入学のために上京して来た世之介(高良健吾)の青春物語。

現在生きているひとが、ほろにがい青春時代の思い出を語るというのは、青春映画づくりの常套パターンなのだが、この映画では、入学式から始まって、仲間たちやお嬢様の祥子(吉高由里子)との交流が描かれていくうちに、突然十数年後の仲間たちや祥子が当時を思い出すという構成となっている。
そこには単なるノスタルジーだけではない、「忘れていたけど楽しい思い出」が湧き出してくる相乗効果を体感させる。

映画中盤では、地下鉄で転落した人を助けようとして世之介が死亡するというニュースが流れる。
ここから後は、「もう死んでしまったひと」として世之介を観るから思いは深まる。

登場人物たちへの同化、親近感をうまく描くことによって、映画を観終わって胸に迫ってくるものがある。
私も大学生時代にタイムスリップ、そういえば世之介みたいな男がいたな〜と、思わず苦笑。

監督は、「南極料理人」で商業映画デビューした沖田修一
期待の若手だ。

吉田修一著の原作本は購入したので、これから読むつもり。
こちらも楽しみ。