映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「南極料理人」


40年間のサラリーマン時代、単身赴任は博多での一度だけだったが、これが実に楽しかった。それぞれ勤務会社は異なっていたが、今でも東京で当時の単身赴任仲間で定期的に集まって飲み会をしているほど。


なにが楽しかったといえば、やはり食堂があったからだ。
朝・夕食の賄い付き単身赴任専用マンション。
料理は、管理人夫婦の奥さんが作る。もちろん家庭料理である。
要は、この家庭料理の食堂を中心にして住人たちの会話がひろがり、ともに笑い、飲み食べて、単身赴任のストレスを忘れさせてくれた。
もちろん料理人を、我々は”おかあさん”と呼んでいた。

 

こんな博多単身赴任時代を思いださせる映画を観た。
9月に公開されたが、見逃していた「南極料理人」。

 

単身赴任8人が過ごす極寒の南極基地。
博多と違って中洲飲み屋街は無いが、カクテル・バーや、雀荘、卓球・ボウリングもあり、野球だってできる。
だけど、やはり料理を囲んで食卓が生活の中心だ。
本格フレンチ、手作りラーメン、伊勢海老のフライ、いろいろな具がはいったおにぎり・・・
これらの料理にまつわるエピソードが、ユーモアたっぷりに心地よく展開していく。
料理人を演じる堺雅人が、次第に”おかあさん”になっていくが、任務を終えて帰国して家でゴロゴロしている姿とのギャップも面白い。

KDD交換手のエピソードにも、びっくり。

 

監督・脚本は、これが商業長編映画デビューという31歳の沖田修一
奇をてらうことなく堂々たる演出で、期待の新人に間違いない。