映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「J・エドガー」

8人の大統領が恐れた男。
男の名は、FBI初代長官のジョン・エドガー・フーバー
48年間という長い間、権力の座にいたという。

最初は正義感に燃えた男も、権力を握り、いかなる情報をも手に入れられるようになると、権力にしがみつくようになり、その秘密情報が大統領を脅す材料となる。

そして、誰も信用できなくなって、孤独な老人になっていく。
死後、膨大な秘密情報がたったひとりの手でシュレッダーにかけられる様子にゾッとした。
実際、フーバーにはミステリアスな部分が多いといわれているそうだ。

長官就任時には、「自己に厳しく」と強く言っていたフーバーが、次第に「法律も時には曲げる」と変わっていく姿が淡々と描かれる。

権力に長く居座ると、どうなるか。
まさに歴史は証明しているはずだ。
「過去の歴史を学べ」と本人に言わせているが、そこが監督の狙いなのだろう。

クリント・イーストウッド監督最新作は、ドラマティックな題材ながら、あくまで淡々と、ひとりの男を冷静に描写することに徹した。

レオナルド・ディカプリオがフーバーを熱演している。
実在の人物の熱演ぶりが大好きなアカデミー賞だが、主演男優賞にはノミネートされていない。