映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「ソーシャル・ネットワーク」

世界に衝撃が走ったチュニジア政権交代・無血革命は、インターネットの「フェイスブック」と「ウィキリークス」が決定的な役割を果たしたといわれている。
フェイスブックを通じて若者の自殺事件が瞬時に広がって、大規模な市民抗議デモになったという。
それほどのフェイスブックとは、いったい何?
という興味もあって、この映画を観たが、その革新的機能は理解できなかった。
どうして、6億人もの会員がいるのか、企業価値が4兆円もあるのかも。
SNSの「mixi」は匿名で、フェイスブックは実名という違いはあるようだが、それだけなのか?

映画「ソーシャル・ネットワーク」は、フェイスブックを描くのではなくて、フェイスブックを作った男マーク・ザッカーバーグの話である。
誕生のきっかけが、恋人にふられて、やけになって遊びではじめた女子学生の顔写真比較サイトだというのが、面白い。
求めたものは、人と人とのつながり、友達を増やすこと。

とにかく主人公マークを中心に、ノンストップの猛烈な会話劇で、最後まで飽きさせない。
マークは、無口でひきこもりのITオタクではなく、雄弁で行動的だ。
また同時に、自己中心的で快楽主義の、いまどきの若者。

でも、怖いもの知らずというのが強み。
その姿を徹底的に追いかけることで、今という時代を浮き彫りにする。

マークとその仲間の男たちの映画だけに、次々に登場する軽薄な女子学生のご乱交ぶりに、女性の観客には不快感がありそう。
だが、「あなたの人物像が、陪審員にはどう映っているのかという点が重要だ」という核心をついた一言でマークは救われたのだが、それはひとりの新人女性弁護士。

女子学生の顔写真比較サイトで盛り上がっても、今度は自分自身の態度や服装という外見だけで裁判の勝負が決まるという、皮肉。

マークは、フェイスブックでやりたかった”友達を増やすこと”には失敗し、たったひとりのふられた恋人に絆を求めた、というなんとも皮肉で、孤独な青春。

「映画は時代を映す鏡」と呼ぶにふさわしい作品。
一見の価値あり。アカデミー賞本命も、うなずける。