映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

山崎豊子著「運命の人」

今日の毎日新聞朝刊トップ記事は、

”沖縄密約 開示を命令
「肩代わり」存在認定  東京地裁判決”
原告の西山太吉毎日新聞記者は、
”「超」完全勝利だ。”歴史に残る判決だと談話。

密約文書をめぐる情報公開訴訟で、国に開示命令の判決記事。
密約文書はアメリカで公開され、密約が明らかになっているにもかかわらず、国はそのような密約もなければ文書もない、と言い続けている。
判決では、密約文書の存在を認め、文書を破棄したことの立証を国に求めたもの。

この事件がモデルとなった小説が、山崎豊子著「運命の人」(全4巻)。
これを先月読み終えたばかりであったので、このニュースは衝撃的だった。

小説の第1〜3巻は、新聞記者の取材合戦や新聞社の内幕などにも興味をつなぎ、”国家権力とメディア”を描いて、この事件の全貌を明らかにする。

第4巻では、物語は事実から離れ作者の創作であるという。
主人公の沖縄での生活を通して沖縄問題を浮かび上がらせて、”国家権力と沖縄県民”を描く。

また、同じ題材での映画としては、原告団のひとり澤地久枝原作で1978年にテレビ映画として作られた「密約」(千野皓司監督)が、今日から劇場公開されるという。
この映画の予告編を「ハートロッカー」のときに観たが、新聞記者を北村和夫、外務省事務官を吉行和子が演じていて、ふたりとも小説「運命の人」を読んだときのイメージとぴったりの配役だった。

今日のトップニュースを読んで、映画や小説のもつ社会的影響力に驚く。
そして、澤地久枝山崎豊子ふたりの女流作家の執念やパワーにも驚くばかりだ。