映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「きみはいい子」

88年の歴史を誇る「キネマ旬報ベストテン」で、昨年女性監督が初めて監督賞に選ばれたのが、「そこのみにて光輝く」の呉美保監督。
注目の彼女の最新作ということで観に行く。

小学校の新人教諭で、生徒たちに手を焼く岡野(高良健吾)。
3歳の娘に手を挙げてしまう雅美(尾野真千子)。
ひとり孤独に生きる老婆あきこ(喜多道枝)。
この三人を軸に、周囲の人々とともに物語は進む。
学級崩壊、いじめ、虐待、ひとり老人など現代的なテーマが自然と浮かびあがるが、それらの問題提起をするといったたぐいの映画ではない。

岡野が生徒に宿題を出したあたりから、映画は急展開していく。
それまで淡々と描いていたものが、ドラマティックな収束となっていくあたりが映画ならではの手法。

なお、この映画を未見のひとは、ネットで予告編を観ないほうがいい。
たまたま私は予告編を観ていないで映画館へ行ったのでよかった。
ブログを書く前に予告編をチェックしてみたら重要なポイントが画面に出てくるではないか。
この場面を事前に観ていると感動が半減する?とみたが。

ひとと、ひとが、繋がって・・
一歩前進すると決めた岡野の表情が、観る者の胸を打つ。

褒めてひとは育つという。
「きみはいい子」と、言ってみよう。