「エロい」、「グロい」、「悪趣味」で、R18+(18歳未満禁止)指定、「万人には絶対薦められぬ映画」といわれた作品。
見逃していたが、もう最終上映日が来てしまい、あわてて映画館へ。確かに、登場する二人の妻はエロく、死体処理場面はグロい。実際の信じがたいおぞましい事件を基に作られただけあって、事件を再現をすれば、一般常識では想像を超えた想定外の展開となる。
我々は2時間半、一瞬のゆるみもなく、この事件を体験し、驚き、あきれ、そして笑ってしまう。手当たりしだい冷凍食品をスーパーで買う妻(神楽坂恵)、ご飯までもすべて電子レンジでチン。夫(吹越満)と娘の三人で夕食を食べる食卓場面から始まる展開が、主人公家族の今を的確に示し一気に釘付け。よく喋り人の良さそうな熱帯魚店社長(でんでん)が登場してからは、もう怒涛の展開である。
映像の迫力、鋭いセリフ、よく練られた脚本。これは計算尽くされた映画。監督は、響きが詩人のような名前の園子温(その しおん)。
日本美術史でいえば伊藤若冲のような、”奇想の作家”だ。