小野俊太郎著の本「モスラの精神史」(講談社現代新書。07.7.20.刊)は
「1961年の7月30日、モスラは飛んだ。」
で始まる。
読み始めると、なに!なに!新しい発見に驚きの連続だ。
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東宝映画「モスラ」といえば、私は、あのピーナッツが歌う「モスラーゃ、モスラー」がすぐ頭に浮かぶ。
当時封切りで観て、東京タワーをへし折って繭をつくるというアイデアに感心した。
この本では、当時売り出し中の純文学作家、中村真一郎、福永武彦、堀田善衛の3人による共同執筆による原作小説から紐解いていく。
これが新鮮。
特に「幻想的な島と現実的な都会との対比が、キングコング以来の怪獣映画の公式」であるとか、当時の映画産業がテレビへの対抗意識からテレビ塔をへし折った等々の分析は興味が尽きない。
そして「生物の環境をめぐる新しい価値観」が「風の谷のナウシカ」を生んだという。
本の帯に書いてあるように、「多くの謎が、いま解き明かされる!」ところが独壇場で、面白い。
帯の右に記載された章のタイトルを見ただけでも感心しませんか?
60年安保闘争の翌年に飛んだモスラ。
当時の自分、高校生時代がふとよみがえってきた。