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映画でしか表現できない世界というものがある。
ラビリンス(迷宮世界)を描くダーク・ファンタジー映画「パンズ・ラビリンス」は、陰影を強調した独自のビジュアルが美術と音楽、ドラマと見事に融合してできた本年屈指の感動作である。
メキシコのギレルモ・デル・トロ監督によるメキシコ・スペイン合作のスペイン語映画であるが、今年の米アカデミー賞の撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞したというのも、うなずける。
1944年のスペイン。
独裁政権軍の山奥駐屯地にやってきたひとりの少女。突然現れるパン(牧神)に導かれてラビリンスへ。
それとともに独裁政権軍とゲリラとの戦いというシリアスな展開。
この迷宮世界と酷い現実の二つの世界を対比して描く映像が絶妙な味で、最後まで画面に引き込まれてしまう。
そして最後に開いた白い花が、美しい。
映画を観る歓びをたっぷりと味わうことができる。これぞ映画!