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今月の歌舞伎座は、
”吉例顔見世大歌舞伎”。
この興行タイトル「顔見世」は、江戸の芝居小屋が、契約初年度が始まる11月に専属役者の顔を見せるという華やかな行事が起源。
歌舞伎座で夜の部を観に行った。
歌舞伎独特の演出に「だんまり」というのがある。
暗闇という設定のなかで、多くの人物が無言のまま、あたかもスローモーションの動きで、探り、見得、立ち廻りをする所作である。
黙っているから「だんまり」。
顔見世興行などでは、ご挨拶を兼ねて人気役者がゆっくりと、しかもずらりと並んで見せるサービス満点の舞台なのだ。
夜の部最初の演目が「宮島のだんまり」。
だんまり自体が独立して上演されるという顔見世にふさわしい演目だ。
今回は宮島の厳島神社を背景に、
福助、錦之助、歌昇、歌六
ら13人の各役柄が勢揃いして、美しい見得を切って、だんまりの醍醐味を味わうことができた。
「仮名手本忠臣蔵・山科閑居」では
芝翫、吉右衛門、幸四郎、菊之助がたっぷり魅せ、
「土蜘」では
菊五郎、仁左衛門、左團次、梅玉、富十郎らがずらりと顔をそろえ、
「三人吉三巴白浪」では
孝太郎、松緑、染五郎といった若手がはつらつと、
まさに顔見世にふさわしい舞台であった。
歌舞伎は役者が華。