劇場公開版とは異なるDVDが発売されることがある。
「ディレクターズ・カット」とか「完全版」など呼び名は違うが、要は映画プロデューサーによって不本意な編集をされた監督が、当初劇場公開されたバージョンとは別に、改めて編集したものだ。
ハリウッド映画では、最終的な編集権は映画の製作者(プロデューサー)がもっていることからおこる。
上映時間リミットによるフィルムカットは、監督の戦いの歴史でもある。
テリー・ギリアム監督は「未来世紀ブラジル」(85年)で、契約上の上映最長時間を17分オーバーしてユニバーサル社と争い、最終的にノーカット上映に成功したという例もある。
周防正行監督の「Shall weダンス?」(96年)がアメリカで公開される時、
”2時間を越える字幕つき外国語映画は絶対にヒットしない”という理由で、2時間16分のオリジナル版は無理やり1時間58分にフィルムカット(18分)されている。
黒澤明監督の「七人の侍」(54年)<海外版>は、これも”長すぎる”ということで監督自身が43分カットして上映したもの。これぞ逆の意味での”ディレクターズ・カット版”。
以後1975年の完全オリジナル上映まで、国内でもこの海外短縮版が上映されていた。
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↑現在上映される「七人の侍」は、もちろんオリジナル<完全版>