映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

中村錦之助襲名

今月の歌舞伎座は、中村信二郎が「二代目中村錦之助」を襲名する舞台。

初代中村錦之助といえば、東映時代劇映画の大スター。
私が小学生の頃、映画に熱中したきっかけは錦之助主演の「笛吹童子」だった。

歌舞伎俳優だった錦之助が、美空ひばりのプロダクション(新芸術プロ)から映画界にスカウトされたのは昭和29年(54年)。

松竹配給の「ひよどり草紙」で映画デビューした。
この作品はヒットしなかったが、ひばりが錦之助を絶賛し、それほどの俳優ならばと、東映がひっぱってきて「笛吹童子 三部作」(54年)を製作。これが大ヒット、さらに「里見八犬伝」「紅孔雀」も大当たり、東映の昭和29年製作本数は103本と世界第一の映画製作会社となったのである。

東映錦之助とひばりと組ませてゴールデンコンビで当てようと、今度はひばりを東映にスカウトして「唄しぐれ おしどり若衆」など続々と製作、東映時代劇黄金時代を迎えた。

代表作は「宮本武蔵」と「沓掛時次郎 遊侠一匹」(66年)だろう。

好況のなかでスターに頼った量産体制は、やがてテレビの時代に。

昭和47年には萬屋錦之助と改め「子連れ狼」シリーズなどで活躍した。

映画で名を残した名跡を35年ぶりに歌舞伎界で襲名する。