映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「アンジェリカの微笑み」

2015年4月に106歳で亡くなるまで現役世界最高齢監督だったポルトガルのマノエル・ド・オリベイラ監督が101歳で製作した映画が公開された。
98歳の監督作「夜顔」、104歳の監督作「家族の灯り」と、私は今回で3作品目の出会いとなった。

監督作は、瞑想的で静寂な映像とクラッシク音楽を堪能するものと心得る。
セリフはちょっと哲学的なところが神秘性を匂わせる。

独特の作風なので、過去の監督作品に共鳴できなかったひと、初めて監督作を観るひと、にはオススメできないかもしれない。

本作の物語は、青年イザクが美女アンジェリカの死体にカメラを向けると、息を引き取ったはずのアンジェリカの瞳が開き、イザクに微笑みかけるという妖しくも神秘的な愛の物語。

イザクと真っ白な婚礼衣装のアンジェリカが抱きあったまま、空中遊泳するシーンは、まるでシャガールの絵画のよう。
今回はショパンピアノ曲が画面を引き締めていた。

全体に漂う”品格”は、この監督ならではの味わいだ。