映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「家族の灯り」

今から50年も昔、私が高校生だった頃、東京で開催されたイタリア映画祭に行った。
その時に会ったのが当時CCの愛称で大人気女優のクラウディア・カルディナーレ
彼女を身近で見ることができて、美女にうっとり、彼女が発するオーラにびっくり仰天、心臓が止まった。
現在でもYouTubeで、「刑事」「鞄を持った女」「山猫」「ブーベの恋人 」など若き美しい姿を観ることができて、いまだにファンが多いことを伺わせる。

そんな彼女が主演するので観に行ったこの映画。
日本のポスターにはジャンヌ・モローの名前が一番最初に書かれているが、ジャンヌ・モローは脇役で主演女優はCC。

今年106歳となる現役の映画監督であるポルトガルの巨匠マノエル・デ・オリヴェイラ監督が描く家族の物語。
8年前にこつぜんと姿を消した息子の帰りを待ちわびる母(CC)と彼の失踪の秘密を知る父(マイケル・ロンズデール)、義理の娘の質素な日常を描く室内劇だ。

“まるでレンブラントの絵の世界に入り込んだような映像美”
ル・モンド紙で評されたように、室内劇を見事に映画に仕立てているあたり監督の創作意欲に敬意を表する。

二人が画面に向かって椅子に座り喋る、独白する、すべて演劇形式で進行し、鮮やかな幕切れ。
小さな劇場で鑑賞する演劇の味わいである。