映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

「ビッグ・アイズ」

ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」に登場する心優しいモンスターたちの造形世界によって、一躍現代アーティストの仲間入りをしたティム・バートン
彼の個展「ティム・バートンの世界」は、好評の六本木・森アーツセンターギャラリー展示を終え、今月27日から大阪でも開催される。

この映画は、ティム・バートン監督が、
1950〜1960年代アメリカのポップアート界で一大ブームを巻き起こした画家マーガレット&ウォルター・キーン夫妻のゴーストライター(ペインター)事件を扱った実話である。
この事件のことを私は知らなかったが、”ほんとに実話なの?”と疑うほどの面白さ。

60年代の時代の空気を丹念に映しだし、現代アートビジネスの変遷ー特に印刷したポスターとかポストカードの大量販売ビジネスなど興味は尽きない。
妻マーガレット(エイミー・アダムス)の視点から描かれるが、監督らしい独創的表現は、周囲の人間の眼が絵のようにビッグ・アイズとなって登場するシーン以外は一貫してオーソドックスな表現となっている。
同じ女性の勝訴を描いた「チェンジリング」のクリント・イーストウッド監督作品と言われても分からないかもしれないほど。

夫ウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ)が弁舌たくみに行動するさまは、あっけにとられる好演。
二人の熱演で最後まで楽しめた。

エンドロールで、実在の87才マーガレットさんとエイミー・アダムスのツーショット写真が映され、彼女の健在ぶりに嬉しくなる。